
皆さんは、デスクのカレンダーや手帳を見たときに、「文月(ふみづき)」や「葉月(はづき)」といった和風月名(わふうげつめい)を目にしたことはないでしょうか。
日本には古くから各月を表す美しい呼び名があります。しかし、「秋風が吹くというけれど、まだ真夏のように暑い」「水が無い月と書くのに、梅雨の時期と重なっている」など、実際の季節や気候と名前が合っていないと感じたことはありませんか。
普段何気なく目にしていますが、改めて考えると不思議ですよね。今回は、そんな和風月名と現代の季節感に生じている「ズレ」の理由と、今の時期である7月「文月」に込められた素敵な意味をご紹介します。
なぜズレる? 和風月名と現代のカレンダーの違い
カレンダーに書かれている和風月名と、私たちが肌で感じる季節が合わない最大の理由は、「昔と今で使っている暦(カレンダーの基準)が違うから」です。
和風月名は、もともと江戸時代まで使われていた「旧暦(太陰太陽暦)」に合わせて作られた言葉です。月の満ち欠けを基準としながら、太陽の動きも取り入れて季節とのズレを調整する『太陰太陽暦』に対して、明治時代以降の私たちが使っている「新暦(太陽暦)」は太陽の動きを基準にしています。
この暦のルールの違いにより、旧暦と新暦ではおおむね1か月から2か月ほどのズレが生じることになりました。そのため、旧暦の季節感をそのまま新暦のカレンダーに当てはめると、現代の気候より少し季節を先取りしているような、不思議な違和感が生まれるのです。
梅雨なのに「水無月」? 季節のズレが作る不思議な感覚
この「季節のズレ」がよく分かる面白い例が、6月の「水無月(みなづき)」です。
現代の6月といえば、日本の多くの地域で梅雨を迎える時期です。「雨がたくさん降って水が豊富にあるはずなのに、なぜ水が無い月と書くのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。 実は、旧暦の6月は現在の「7月上旬から8月上旬」にあたります。つまり、梅雨が明けて厳しい暑さにより水が干上がる時期であったり、あるいは「無」という字を「の」という意味で捉え、田んぼに水を張る「水張月(みずはりづき)」が変化したという説があるなど、当時の季節感にぴったりの名前だったのです。
また、8月の「葉月(はづき)」も、旧暦では現在の9月上旬から10月上旬頃を指します。木々の葉が紅葉して落ちる「葉落ち月」が由来と言われており、厳しい残暑が続く現代の8月とは全く違う、涼しげな秋の情景が浮かびますね。
7月「文月」は文字と紙の季節。手書きの便りを楽しもう
さて、現在の7月は和風月名で「文月(ふみづき)」と呼ばれます。この名前には、文字や書物に関わる素敵な由来があるのをご存じでしょうか。
最も有名な説が、七夕の行事に関連するものです。昔は7月7日の夜に、短冊に願い事を書く風習がありました。また、夏の夜風に書物を当てて湿気を飛ばす虫干し(風通し)の行事「文被月(ふみひらきづき)」があり、そこから「文月」へ変化したとも言われています。
私たち川嶋印刷にとっても、「文(文字)」という字が入る7月は、紙やインクを扱う企業として少し特別な親近感を感じる月です。パソコンやスマートフォンで簡単に連絡が取れる現代ですが、文字の上達を願ったり、本を大切に手入れしたりした昔の人の心は、いつの時代も大切にしたいものです。
まとめ
今回は、和風月名とカレンダーの季節がズレている理由についてご紹介しました。
暦が変わったことで気候とは合わなくなってしまいましたが、ズレの理由や本来の由来を知ると、昔の人々がどれほど自然の変化を細やかに観察していたかが伝わってきます。
文字や書物と縁の深い「文月」の時期。仕事の合間に読む本を新調してみたり、お世話になっている方に暑中見舞いなど手書きの便りを送ってみたりと、少しだけ「紙と文字」に触れる時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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