
2026年の施行が想定されていた、1987年の大改正以来約40年ぶりとなる労働基準法の改正案ですが、2025年12月に通常国会への提出見送りが報じられました。これにより、施行は少なくとも1年間の後ろ倒しとなる見込みとなりました。
しかし、法改正そのものが白紙になったというわけではありません。先送りとなった今だからこそ、予定されていた改正内容の主なポイントなどを改めて整理してみたいと思います。
法改正の必要性と見送りとなった背景
労働基準法は、会社が従業員を雇う際に守るべき「最低限のルール(労働時間、賃金、休憩、休日、有給など)」を定めた法律として1947年に制定されました。
その後、時代の変化に応じて部分的に改正が行われてきましたが、テレワークの普及や副業・兼業の拡大、働く人の価値観の多様化など、働き方や労働環境が大きく変化し、法改正の必要性が議論されてきました。
ではなぜ、今回法改正が見送られる事になったのでしょうか。
政府から明確な理由は公表されておりませんが、報道などによると、2025年10月に高市総理が「心身の健康維持と従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和検討」を厚生労働大臣に指示したことが影響ではないかと言われています。
それにより、このような「規制緩和(政権方針)」と、これまで審議会で議論が進められてきた「規制強化(厚労省案)」の調整がつかなくなったことにあると考えられています。
検討されていた「労働基準法改正」の主なポイント
今回の改正案では、いくつかの重要なポイントが検討されていました。その中で企業への影響が大きいと考えられていた主な内容は以下の通りです。
※現在も審議会で議論が続いており、どのように改正されるのか、あるいはそのほかの論点も追加されるのかは未定となっています
①連続勤務の上限規制
健康確保の観点から、連続勤務日数が「14日以上禁止」とされる方向で検討されていました。
②法定休日の特定義務
企業は週1回以上の法定休日をあらかじめ特定し、明示する必要性の整理が進められていました。就業規則や雇用契約書への記載の明確化が求められます。
③終業から始業まで11時間の休息確保(勤務間インターバル)
終業から次の始業までに11時間以上の休息時間を確保する事を義務化する方向で検討が進められていました。
④勤務時間外の連絡に対する配慮義務(つながらない権利)
勤務時間外や休日に業務連絡へ応答しない自由、いわゆる「つながらない権利」の考え方を踏まえ、ガイドラインの策定等が議論されていました。
⑤有給休暇の賃金計算方法を統一
年次有給休暇取得時の賃金について、「通常賃金方式」を原則とする方向で整理が進められていました。
⑥副業・兼業者の割増賃金ルールの見直し
健康確保のための「労働時間の通算」は維持しつつ、割増賃金の支払いについては通算を不要とする方向で検討されていました。
⑦週44時間の特例措置の廃止
一部業種の中小企業に認められている「週44時間労働」の特例措置について、見直しや段階的な廃止が検討されていました。
⑧過半数代表者の選出手続の厳格化
年次有給休暇取得時の賃金について、「通常賃金方式」を原則とする方向労働基準法上に「過半数代表者」を明確に位置づけ、公正な選出手続や情報提供、不利益取扱いの禁止などを規定する方向で検討されていました。
まとめ
2026年の施行は見送られる結果となりましたが、労働基準法改正は企業にとって大きな転換点となります。
短期的に見るとコスト増となる面もあるかも知れませんが、働きやすい環境を整備することは、人材確保や離職率を抑えるなど、持続的な成長に不可欠な「投資」であるとも考えられます。
厚生労働省は企業に対し、法改正による強制力の前にガイドラインの策定や助成金を通じた「自主的な取り組み」を強く求めています。
先送りとなった今だからこそ、労務管理側としては、法改正を「やらされる規制」ではなく「自社の企業力を高めるきっかけ」として前向きに捉え、自社に合った形で無理のない準備を進めていく必要があります。
また、社員(従業員)としては、自主管理の意識を高めるなど「セルフマネジメントと生産性向上を意識した行動をとる」ことが、より一層重要になるのではないでしょうか。
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